浜松まつりはなぜ人出(観客動員数)が多いか、実際に行ってみた。

ゴールデンウイーク(GW)のおもな祭り・イベントの人出(観客動員数)は、

 弘前さくらまつり 246万人/16日間
 博多どんたく港まつり 230万人/2日間
 浜松まつり 177万人/3日間
 広島フラワーフェスティバル 159万人/3日間
(数値はいずれも2018年、新聞社発表や公式発表など)

1日当たりの人出でいえば、博多どんたくの次にくるのが「浜松まつり」だ。

ということで、その人気の秘密を探るべく、実際にこのゴールデンウイークのめっちゃ混んでいる時期に、浜松へ行って来ました。

前日は東海道線の能登川駅で途中下車し、滋賀県東近江市で行われた「伊庭の坂下し」を見物。
500kgもある神輿を崖から降ろす(落とす?)という勇壮な祭り。

名古屋で一泊(さすがに浜松では宿を取れなかった)、翌朝、新幹線で浜松へ。

在来線でも1時間半くらいで行けるけど、新幹線だとあっという間の35分ほどで朝9時過ぎには到着! 
10時から始まる行事に間に合うかどうかを心配するストレスから解放されるのは大きいです。
実際には新幹線使ってそんなにあせって行くほどではなかったかもしれませんが、それは実際に行ってみないと分からないこと。ひょっとしたらシャトルバスで大混雑に巻き込まれる前に行けたのかもしれないので、新幹線のメリットはあったと思います。

それでも、
 ・観光客がぜひ見ておきたい行事は何か?
 ・何時頃までに現地に着けば美味しいところが見られるのか?
 ・会場へのアクセスはどうすればいいか?
 (特に今回、駅からシャトルバス乗り場が少し離れていて分かりにくかった)
は、パンフレットや、できれば公式サイトに載せておいてほしいところです。

シャトルバスで約20分、9時半頃には、凧揚げが行われる「中田島会場」に到着。
観光客向けに、法被を着て記念写真を撮ってくれるコーナーへ。無料。
  

そして、パンフレットを貰った後は、一路凧揚げ会場へ。

会場全景。

凧揚げを行う芝生(正規の半纏姿・ワッペン付の人のみ立入可)を取り囲むように、各参加町の小屋が建ち並ぶ。
我々観光客は、芝生の外側にある通路から望遠を駆使して撮影しなければならない(ことになっているが、実際には法被のない人も大勢芝生にけっこう入っていた)。

凧の落下にお気を付け下さいと、場内でもしきりにアナウンスがありました。
大凧が落下すると非常に危険で、東近江市ではかつて死者もでています。

凧が無事にあがりバンザイしてる様子。

凧の糸枠。
太さ5mm の麻糸を1~3kmほど巻き付けているとのこと。

各町の小屋前。
どの町も、凧を上下逆さにして立てていた。なぜだろう?

凧揚げ会場はすぐ近くが砂浜。
休憩で海と戯れる法被姿の人もたくさん見かけました。

今回、風がすごく強かったので、凧がすごく高く揚がりすぎてしまい、その結果「法被姿とあがりゆく凧」という絵づらが撮りづらかったです。

こんな絵を狙っていたのです。(浜松駅地下街にある広告)

それにしても驚くのは、私服の観光客は少なく、法被姿の人が9割くらいではないかと思われる。
一応、観光客対応として、法被姿の人は入れない「無料観覧席」もありましたが、

100名ほどの観覧席、何席か空きがありました。
実際、凧落下防止のネットが張り巡らされているのですが、これがもとで見にくいのなんの。写真も撮りづらいので、早々に出て行きました。

15時頃には凧あげ行事も終了するので、シャトルバスで駅へと急ぐ。
17時に、お友達と駅で待ち合わせして浜松餃子を食べようということになったのだ。

駅ビル内に有名な浜松餃子の専門店「石松」があるのだが、行ってみたら「50分待ち」の大行列!

別のお店に行くことに。
今回のメインは浜松餃子ではなく、あくまでも「祭り」と「友との語らい」ですからねえ。

18時半から、夜の屋台曳きまわし。
昼間のうちに写真をとっておく。

八幡町の法被
大阪の人がみたらこれ、「京阪特急」に見えてしかたない。
  

京阪特急のヘッドマークは「沿線にある石清水八幡宮で鳩が神勅の使いとされていることなどがその由来」とあるので(参考:Wikipedia)、こんなところで八幡さまに繋がっていたことに驚き。

屋台曳きまわし、18時半から始まりました。

祭りの実行委員や、ミス浜松まつりのひとも特設ひな壇に。

夜の町を豪華な屋台が行き交うというので、昼とは違い見物客も多かったです。特にみずほ銀行前という、いちばん人出の多いところで見てしまったので、屋台の写真が撮りづらいこと。
いつもの「高い身長を生かして腕を伸ばしノーファインダーで撮影」という技を駆使しても、こんな感じ。

こういうときは、「沿道を歩いて空いているところを探す」作戦に転換。
屋台がきっちりと入る写真が撮れた!

屋台の前看板となる「町名がはいった台車」

お城を形どった町もありました。

浜松駅へ戻る途中、「祭り」という居酒屋さんを発見。
さすがに新幹線の予約時間がせまっていたから入らなかった。

今回、お友達が「大阪から浜松祭りにわざわざ来てくれる」といったら、そのお友達の友達が「えーわざわざ大阪から?」と驚いていたという。
その反応に、私のほうがびっくりである。

3日間で177万人も訪れるという浜松まつりであっても、そのほとんどは地元かその近郊の人であり、我々みたいに遠方からわざわざ見に行く観光客は意外と少ないらしい(祭りにあわせて郷里に戻ってくる帰省客は別)。
凧揚げ会場でも、そのあとの屋台曳きまわし会場を見ても、ツアーバッジをつけたいわゆる観光客らしい人ってほとんど見かけませんでしたからね。

弘前さくらまつりの場合は遠方からの観光客も多そうだが、浜松まつりも、博多どんたくみたいに「ほとんどが祭りに参加する地元民」だったということでした。見たかんじ、観光客に見せて楽しんでいただく祭りというより、地元民が自ら楽しむためにある祭りという印象を受けました。

浜松まつりのパンフレット。

開いてすぐあるのが、173ある各町の凧模様・法被・屋台の一覧。
観光客が本当に必要な情報である「詳細なタイムテーブル」「会場マップ」「祭りの知識がない人でも分かる詳しい見どころ」が隅に追いやられている印象が。どちらかといえば、地元の人が見て喜ぶ内容になっていないか。
浜松まつりを実際に見ている人が、遠方からの観光客ではなく地元民ばかりだったら、この編集方針は納得だが。

「他者目線」って本当に大事。
浜松の人も、どこか遠方の祭りに行ってみたら、そのことがよーく分かると思います。

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