学んでから行くべきか、行って学ぶべきか(ノジュール9月号掲載)

JTBパブリッシングの発行する旅行雑誌「ノジュール」にて、お祭り記事の連載「祭地巡礼」9月号が届きました。
「地元民には熱狂的に愛されてる祭り」「誰でも知ってる有名なお祭りを一通り見た旅行通が、次に見たくなる祭り」を紹介するという企画です。年間購読専用雑誌で、書店やJTBの支店などには置かれていない雑誌なので、年間購読されている方はぜひご覧ください。

さて、これで終えたら単なるお仕事自慢になってしまうので、今回は、祭りの知識について少し。

冬の時期になるとよく見られる「里神楽」。
最も有名なのが「高千穂夜神楽」で、それ以外にも「花祭(愛知県奥三河)」「霜月神楽(長野県飯田市や秋田県横手市など)」といったものがあります。

神社境内ではなく、どなたかのお宅や、公民館・集会場などを1日神楽宿として見物人に公開して、神楽を披露するというもの。中には何年かに一度まわってくる神楽宿当番にあたったために家を大改装するようなこともあるとか。
神事の準備からお接待まで神楽宿にあたったお宅・地域の負担は尋常ならぬものがあるらしいので、見せてもらうならせめて「寸志」とか「謝礼」を包んでいきましょう。
地域によっても違いますが現金なら、3千円~5千円くらいが目安だそうです。

今回の連載で、こうした里神楽に行くには「あらかじめ神話の知識を予習して行くとより楽しめる」という説明をいれておいた。
でも、もともと神楽って、神話を学んでから行くというより、「神話の内容を、書物が読めなくても伝わるようにする」ための仕掛けではなかったっけ?

今の日本はさいわいにして、文盲率がすごく少なく、おまけに紙や本も昔に比べ入手が容易になったから、「神楽」というメディアを使わなくても神話が伝わりやすいインフラが整っている。
古事記の文章は難解で登場人物も多く、まともに原典にあたると挫折しやすいが、今はすぐれたマンガや解説書がそろっている。

でも、学校時代に古事記や日本書紀の内容を習っていない現代人には、神話(特に古事記や日本書紀など)の知識があると、神楽がより楽しめることはまちがいない。私も今、古事記のお勉強をひそかにしているくらいだ。

神楽の内容をより理解したいというのが目的なら、まずはマンガか平易な解説書でイメージを大まかにとらえることが近道だと思う。たとえば、こんな本が人気で定評がある。

「神話を忘れた民は滅びる」って、イギリスの有名な歴史学者アーノルド・J・トインビー博士が言ってたような気がします。文字が普及してなかった時代から、神楽という手段を用いて神話を伝承してきた古代日本人の知恵、おそるべし、です。

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